世界をつなぐ越境者
~Beyond the hill today, Beyond yourself tomorrow~
普通科(進学型単位制)
〒605-0000 京都市東山区今熊野悲田院山町5-22[MAPを見る]
TEL. 075-561-4142 FAX. 075-551-9046
4月8日(火)午前10時から、令和7年度入学式を挙行いたしました。風も光る満開の日吉桜の中、入学生は期待に胸をはずませて入学式に臨みました。
【太山学校長 式辞 全文】
式辞
今年は桜の開花が例年よりも遅く、日吉坂の桜も本日の入学式に合わせて満開となり、新入生の皆さんを待ち望んでいたかのようです。
ここに、令和七年度京都市立日吉ケ丘高等学校入学式を挙行するに当たり、京都市教育委員会事務局学校指導課指導主事、安川 隆司 様、教育後援会会長 南 了仁 様、PTA会長 中山 隆明 様を始め、多数の御来賓、保護者の皆様方の御臨席を賜り、心より、お礼を申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員一同、在校生とともに、皆さんを心から歓迎いたします。
さて、本校は昭和二十四年の創立以来七十五年の歴史を持つ学校であります。この間時代の変遷とともに、本校も変化を遂げてまいりました。平成七年度に京都府下で初の英語科を設置し、これ以降、本校の特色ある英語教育や国際理解教育の礎が作られました。平成二十六年度からは、高校入試制度の変更に伴い、より広い地域から大学進学を目指す生徒が集い、自分の興味・関心や進路希望に応じて主体的に学ぶことができる「進学型単位制普通科」となりました。そして、令和四年度からは、コースをグローバルコミュニケーションコースに一本化したところです。
それと同時に、「自律」「協働」「創造」の学校教育目標を整理しなおし、育てたい生徒像「世界をつなぐ越境者」を設定しました。「世界をつなぐ越境者」に込められた意味は、身の周りの社会や世界の中の様々な境の両側にある文化や歴史、価値観の多様性を理解した上で、その境を越え、境の両側の世界をつなぐ架け橋のような人になってほしいというものです。ここには自分の中にある壁や社会に存在する様々な境を越えて挑戦し、自分の世界を広げ、人とつながり、新しい価値を作り出す人に育ってほしいという願いも込められています。
そして、その「世界をつなぐ越境者」に必要な資質能力として、日吉ケ丘でつけたい七つの資質能力、HIYOSevenも同時に設定しました。「俯瞰力」「受信力」「適応力」「思考力」「発信力」「挑戦力」の六つに加え、生徒一人一人が自分で設定する力の七つです。日吉ケ丘高校ではこの七つの資質能力を身につけられるようあらゆる教育活動を行っているところです。
新入生の皆さんのご入学にあたって、この七つの力の中の「俯瞰力」、ものを見る力についてお話したいと思います。
「俯瞰力」とは、広い視野で物事を見たり、客観的に物事の全体像を捉えたりする力、自分や自分の周りの世界を様々な視点から見る力のことです。これからの高校生活でより力強い越境をしていく際に、必要になってくる力のことです。しかし、「俯瞰力」と一言で言ってもなかなか捉えにくい部分も多いかと思いますので、これにつながる次の具体的な四つの「目」についてお話します。
一つ目は「鳥の目」。鳥が空から地上を見渡すように、高いところから広い視野で物事を捉える目のことです。自分の目標や進むべき方向を見失いようにするために欠かせないものです。まずは鳥の目を意識して自分の立っている場所を見てください。
二つ目は「虫の目」。小さな視点で足元をじっくり細かなところまで見る目のことです。日々の小さな学びの積重ねや身近な人との丁寧な関わりはあらゆる物事の土台となります。時には小さな虫になったような気分で自分や周囲の物事をしっかりと観察し、目の前のことに丁寧に取り組みましょう。
三つ目は「魚の目」です。水の流れを読む魚のように、時代のながれや社会の変化を捉える目のことです。未来に向けて自分はどう動けばいいのか。今、現在に集中するだけではなく、過去から未来への時間の流れの中で、自分や物事を捉えてみる目のことです。
そして四つめが、「コウモリ」の目です。コウモリの目で見るとは、逆さまから物事を見るということです。自分の視点だけでなく相手の視点で物事を見たり、正しいと思われることにあえて疑問を抱いたりすることです。
この四つの目を意識して日々を過ごすことで、多面的に物事を捉えることのできる「俯瞰力」が鍛えられます。別の言い方をすれば「メタ認知」ができるようになるとも言えます。俯瞰力を鍛え、自分や周囲を多面的に見ることができると、自己理解や他者理解にもつながります。行き詰まったときに、自分はこの四つの目で物事を捉えているか、とか、四つの目の一部だけに偏っていないか?と考えることができれば、現状を打破する力、未来を拓く力になり、越境への大きな推進力になるでしょう。
HIYOSevenの「俯瞰力」は、ぜひこの四つの目、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」「コウモリの目」を意識しながら鍛えてください。
さて、本校には、「世界をつなぐ越境者」に近づくための越境の機会がたくさんあります。校内留学施設「HELLO Village(英語村)」があり、英語教育や国際理解教育が充実しています。そこでは、海外の文化に触れる機会や、日本や京都の伝統文化を学ぶ機会、留学生など多様な背景を持った人との交流の機会、海外の姉妹校との交流など、越境の機会がたくさんあります。また、総合的な探究の時間では、自己の生き方や社会との関わりを意識した探究活動を通じて、自分の世界を広げていくとともに、フィールドワーク等の学校外での学びの機会も多く用意しています。越境の機会を最大限に活用し、新たな自分を発見し、大きな世界に羽ばたいていくための土台を築いてほしいと思います。
最後に、保護者の皆様に一言御挨拶申し上げます。本日はお子様の御入学、誠におめでとうございます。私たち教職員一同は、お子様が自らの未来を切り開き、健全に成長できるよう、全力で支援して参ります。
そのためにも、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながら、相互に補完しあい、連携を密にしていくことが重要であると存じます。何卒、本校教育への御理解と御支援を賜りますようよろしくお願いいたします。
新入生二百四十名の皆さんが、本校での三年間の高校生活を通してこれからの時代を力強く生きていくことができるよう、大きく成長を遂げることを心から期待いたしまして、式辞といたします。
令和七年四月八日
京都市立日吉ケ丘高等学校長
太山 陽子
新入生のみなさん、ようこそ日吉ケ丘高校へ。丘を越えて、今日からみなさんの新生活がスタートします。この日吉ケ丘での三年間が、かけがえのない素敵な時間になることを心から応援しています。