「人とつながる音楽家」を目指して
音楽科
〒604-0052 京都市中京区油小路通御池押油小路町238-1[MAPを見る]
TEL. 075-253-1581 FAX. 075-213-3631
7月16日(水)、本校71期卒業の薩摩研斗さんにお越しいただき、定期演奏会の3曲すべてをご指導いただきました。
薩摩さんは、5年前に本校を卒業してそのままチェコにわたり、ブルノにあるヤナーチェク音楽院で現在指揮とピアノの研鑽を積んでおられますが、すでにプロのオーケストラを指揮もされ、これまでいくつものピアノコンクールにも上位入賞され、この3月にはスメタナ国際ピアノコンクールに第1位になるなど、チェコで大活躍中です。昨年は現3年生のヨーロッパ研修旅行に際して、事前学習や現地でのサポートでも、とてもお世話になりました。
この日は、前日の夜にチェコから帰国、時差の影響で2時間しか寝られなかった中朝から駆けつけていただき、午前中はモーツアルト作曲の「レクイエム」、午後からはブラームス作曲の「大学祝典序曲」とドヴォルジャーク作曲の交響曲第8番の順番で、丸1日指導していただきました。
振り始めた瞬間から、一気にその指揮ぶりにみんな引き込まれていました。出てきてほしい音楽を、体のあらゆる部分を利用して表現されていて、それに合わせる心地よさと実際に出てくる音楽のすごさにおそらく生徒たちは心が動いていたのではないかと思います。
佐渡先生はずいぶんたくさんのことを語ってくださいましたが、薩摩さんは言葉による指示は少なく(一番たくさん言われていたのは、モーツアルトの歌詞の発音と音への乗せ方だったように思います)、その分雄弁に体で表現されていたように思います。それに食らいついてた生徒たちの底力を感じた1日でした。なんとなくもやっとしていたり、停滞気味だったり、どんな音を出せばいいのか不安だったりといった部分が一気にすっきりし、合唱もオーケストラも音楽の輪郭がとてもはっきりし、音に意思が乗ったように感じました。冷静に考えるとたった一度の練習でここまで変えられることは驚愕です。
午前中の最後にサプライズでピアノも弾いてくださいました。ヤナーチェクとスメタナの曲だったのですが、多彩な音色は表現が素晴らしく、間近で聞いていた生徒はほんとにラッキーだったと思います。
その後感謝の気持ちを込めて、校歌の3番を全員で歌いました。途中から指揮台に立ち指揮をしてくださいました。薩摩さん自身もこの校歌で育っており、自分の校歌という気持ちもあったのだと思います。ホールいっぱいに鳴り響く校歌に、聞いておられた保護者の方々の目にも涙が見られたのが印象的でした。最後に客席で聞いておられた作曲者の平田先生にも敬意を表されて合唱とオーケストラ全体の時間は終了となりました。
午後からのオーケストラだけの時間も含め、とても生徒たちをほめてくださいました。「こんなに反応が良いのは、プロのオーケストラでもめったにない。たくさん勉強させてもらいました。」と。そして、「素晴らしいいい時間をありがとうございました」とお礼を伝えると「それが一番うれしい。そのためにやっているのです」というお答えでした。そんな姿勢を生徒たちも先生方もしっかりと受け止められた1日だったのではと思います。
薩摩さんは生徒にとって年齢的に近く、すぐ先の将来の活躍する姿として見ることができます。そういう先輩と音楽で会話し、つながることができたことはとても貴重な経験になったと思います。
薩摩さん、本当にありがとうございました。